こんにちは！劇作家・演出家の木村恵美子です。
先日劇団晴天つながりで稽古場見学をさせていただいたハナコキカク「おかしな二人～女性版～」ですが、本日はゲネプロを見学させていただきました！
前回のゲネプロレポートはこちらからご覧いただけます。
これを書いている裏で初日が上演されていますね。旗揚げ、初日、おめでとうございます！
それでは感想を書いていきます！
めちゃくちゃ笑いました！
撮影：喜田裕也
いやー、面白かったです！めちゃくちゃ笑いました！休みの日に観に行くのにピッタリな一作ですね！楽しく笑って、自分自身についてもちょっと考えて、で、最後は朗らかな気持ちで帰ることが出来る。こういう作品があるのは良いですね。とても楽しかったので、「おかしな二人」に既に出会っている方もまだの方も、是非観ていただきたいなーと思いました！
視覚的にも楽しい！聴覚的にも楽しい！
今回、かなり気合が入っているのが見て取れました！んー、やはり今作、女性版ということもあって女性演出による細やかな視点が光りますね。例えば、舞台美術の配色バランス、そこへの衣装のセレクト、髪型のセレクトまで素晴らしい。
今年の序盤にシアタークリエで上演されたものをはじめ、過去に他の団体で上演されてきた「おかしな二人～女性版～」でも華やかな視覚的演出をしている作品が複数ありましたが、今作も大変良かったです。今回シーンが変わるごとに着替えがある（角田さん除く）ので、皆さんが新しく登場するたびに楽しみでした。出演者も皆様元々おしゃれですから、それも衣装決定等に活きていったのではないかなーと思います。
衣装はカラフルだけどリアル寄り
まず衣装がどのぐらいのラインで設定されるのか、過去の他の団体の上演記録を見ていてとても楽しみだったのですが、今回はカラフルめにしつつ、全体的にはそこまでキャラクター性に特化させるのではなく、ある程度リアル寄りのラインにされていましたね。皆さんメイクなどもややはっきり目にされておりましたので、コメディ的な濃さはありつつ、それでもリアルな共感も同時に得られるラインだったのかなと思いました。
舞台美術も色使いが素敵！
輝蕗さんによる舞台美術も素敵でしたねー！
楽園という会場の雰囲気も活かしていて、物自体はこういった形式の舞台としてはおそらく最小限だとおもうんですが、諸々大変効果的にやられていた印象でした！特に個人的には色が！とってもかっこよかったです！
撮影：喜田裕也
そして全体的にすごいスピードで交わされる台詞の応酬！色んな声、テンポの台詞がわーっと重なるのがとても楽しくて！ちょっとした鼻歌なんかもとっても良くて！色々事件も起きる中でSE系も丁寧に入っているので色々なシーンでハラハラドキドキも出来て、
「いいお芝居観れたなー！」
って感想でした。
皆で楽しく作ったんだろうなー！って感じました。
撮影：喜田裕也
稽古場レポートでも書きましたが、とにかく楽しんで作られた作品なんだろうなー！と思いました。それは皆さんの雰囲気だとか、舞台上のエネルギー、明るい雰囲気等にもつながるのですが、それ以外にも、細かな工夫、小道具とか、所作とか、そういう部分にも、楽しい稽古場だと「意見を出し合える」といった形で直結していくんだろうなーと日頃感じているんですが、そう言った部分の豊かさを感じました。
楽しく！でも丁寧に！
ハナコキカクが、演出の白石花子さんが、今後どうしていくのか、というのはまだまだ分かりませんが、少なくとも今作、とにかく楽しく、でも基本はしっかり丁寧に、という作風で、かつ戯曲に忠実でありながらも役者の持ち味を活かす演出方針だと感じました。その持ち味の伸ばし方の豊かさは、白石さん自身が俳優としても活躍されているからこその視点でもあるかなと思います。
“演出家”というと話題になるのは特殊な演出を具体化できる方が多い印象ではありますが、こういう、しっかり演出できる方がいるのは心強いな！と思いました。（我ながら何視点だろう……私自身劇作家もしてるので劇作家として、かな……）今後も楽しみにしております。当パンの挨拶もかっこよかったので是非読んで欲しいです！元気貰いました。
この作品は初心者にもおすすめできて、多くの人は笑って帰れる作品だと思うので、観劇初心者の方含め、色々な方におすすめです！唯一おすすめ出来ないのは失恋、離婚等したての方かな……。でもそういうのを笑い飛ばすのには良い機会になると思います。
そんな感じで、とっても良かったのでおすすめです！
映像配信とかあったらいいのになー！と思いつつ……版権ものだから色々難しいと思いので、
この機会に、是非劇場で！ハナコキカクに、ニール・サイモンに、出会ってみてください！
おひとりずつについて書いてみます！
おひとりずつ書いてみようと思います。劇団晴天で書かせていただいてる時はいつも書いているんですが、今回は本文じゃないかなーって気がしたので袋とじにしてみました！
シルヴィ役：鈴木彩乃さん（劇団晴天）
撮影：喜田裕也
はまり役で、鈴木さん自身がお芝居を寄せている、部分もあるとは思いますが、本質的に劇団晴天の「共演者」のテルとか、そういう鈴木さんがやってきた役に通じる部分もある役かなと思うんですが、このシルヴィを通して、「あ、翻訳劇だけどいつもの現代劇と本質的には何も変わらないんだな」みたいなことに改めて気づけたというか、そういうきっかけになった役でした。最も衣装の系統の幅が広く、毎回「こうきたか！」みたいな気持ちにもなれて視覚的にもとても面白かったです。
ミッキー役：角田悠さん（劇団晴天）
撮影：喜田裕也
警官の役なので制服で登場するのですが、衣装がめちゃくちゃ似合ってました！かっこよかった！制服とか好きな木村にはごちそうです。比較的メンバーの中では常識人で台詞や見せ場自体はそんなに多くは無いんですが、確実にインパクトを残していきますし、締めるところでは締めてくれる。ちょっとしたしぐさまで良いです。この役、台本だけ読んでた時から「角田さんっぽいな～」って思っちゃったくらい角田さんにぴったりな役なので角田ファンも一挙手一投足までご覧頂きたいです。
ヴェラ役：永田涼香さん
撮影：喜田裕也
よくぞこの役にこの役者さんを見つけてきましたねと言いたい！猛スピードで交わされるトークの最中、唯一ゆったりな空気感を放り込める人物！他の上演は見たことないものの、舞台写真などから察するに、太ってる役者さんがキャスティングされることが多そうなので、この役の表現としては一種新たな発想だったのかな？と思ってます。稽古時点からもさらによくなってました。あと髪型、正解ですね！めちゃくちゃ似合ってました。
レネー役：幡美優さん
撮影：喜田裕也
全体の役の中でこの人物だけ結婚経験がないんですよね。上演上、それぞれの役をどう設定しているのかは不明ですが、仮に同い年の友人関係？として、周りは既婚、もしくは既に離婚している中、まだ交際中の様子。衣装が特に明るい色が多くて可愛らしかったです！とっても似合ってたし役にもぴったり！舞台上に居るとどうしても目で追ってしまう、そんな魅力がありました！
マノロ役：荒木広輔さん（劇団晴天）
撮影：喜田裕也
荒木さんは、劇団晴天『共演者』での都倉役といい、こういうキャラがはっきりした役がとても似合いますね！稽古段階でもかなり面白かったのですが、ゲネプロではさらに練度を上げていて、大変楽しく拝見しました。荒木さんのそういう役が好み！という方は今回、おすすめです。なんと前説音声も荒木さんですよ！こちらも大変大変大変良かったので是非、早めに劇場入りして聞いてみてください～！思わずニヤニヤしました！これを聞くためだけにリピートしたくなる方もきっと、いらっしゃると思う……！本編観てからだとより楽しめる系なので……！これ終演後音声データだけでもネットに上げてくれたら喜びます……！
ヘイスース役：宮川飛鳥さん（アマヤドリ）
さて私的には劇団の後輩でもあります宮川さん（あえてそう書きます）ですが、やー、表情がね、良かったですね。どうしても贔屓目で見がちなので言葉を選びますが(笑)、彼といえば笑顔！みたいなイメージがあるのですが、その笑顔も可愛ければ「え！？」みたいな動揺の顔も可愛らしく、「わー、困らせたいー！」っていうS心をくすぐられながら見ておりました。荒木さんとは兄弟役ですが、お二人のタッグもね、よりパワーアップしていてとってもよかったです！
フローレンス役：近藤陽子さん（劇団AUN・劇団晴天）
撮影：喜田裕也
以前稽古に伺った時からさらに仕上がってましたね！めちゃくちゃ素敵でした！終始皆の笑いをかっさらっていきます(笑) 本日入口入って右手の席で一部のスタッフ陣と一緒に観ていましたが、ほぼずっとみんなで笑いが止まりませんでした。豊かな喜怒哀楽な表現をはじめ、この役は難しい癖が山ほどあるんですが、全て魅力的に体現されていて、おもわず「凄い……！」と思いながら見てしまいました。
オリーブ役：佐藤沙紀さん（劇団晴天）
撮影：喜田裕也
佐藤さんも良かったですね！おそらく個人的に初登場時のインパクトが最も大きかったのが佐藤さんのオリーブだと思います。髪を染めていらっしゃるんですが、今まで私が拝見した中でここまで大胆な色にされていたことはなかったと思うので、そこも印象的でしたし、これは皆さんにも言える事ですが色々な髪型にされるのも魅力的で！服装も大胆で面白いですし、怒って笑って……そもそも本編のお芝居もとても良いのですが、個人的に特に好きなのが、要所要所の電話でのやりとり！海外ドラマ的面白さがあってとってもワクワクして見れます。
公演詳細
11月29日現在、まだお席はあるようです！ハナコキカクの詳細は公式サイト、X（Twitter）、Instagramからどうぞ！
