観劇

【ゲネ感想】2223project produce劇団晴天第14回本公演『同級生』”だから私は、に立ち返る一作”

こんにちは!木村恵美子です!劇団晴天のゲネレポート、2本立ての2本目です!下北沢を少し歩くだけで熱中症になりそうな陽気ですが、無事拝見して参りました!
もっと「『共演者に近いのかな?」と思っていましたが、全然違う作品に仕上がっておりました! 私にとって、演劇を始めたばかりの頃の気持ちに立ち返ることの出来る、良い観劇体験となりました。

さて、改めまして今回、

2223project produce 劇団晴天第14回本公演
『共演者/同級生』
2023年7月1日(土)~7月11日(火)
@下北沢小劇場B1

『同級生』のゲネレポートを書かせていただきます!

今回の2本立ては、劇団の代表作の一つ『共演者』の再演と、その過去を描いた『同級生』(ただし時代は現代に揃えたそうなので実質はパラレルだとか)。『共演者』は劇場の楽屋を、『同級生』は演劇部の部室を、舞台にしたお話です。

さてさて、今回は多少ネタバレありで進めて参りますが、致命的なネタバレは↓みたいな感じで袋とじ形式にして進めて参ります!

木村恵美子って誰よ?
私を知らない方のために自己紹介をしますと、 木村恵美子と申します。
kazakami(カザカミ)という劇団?ユニット?を主宰している劇作家・演出家(コロナ禍もあってkazakamiでの作品発表はしばらくしておりませんが……)で、最近は「木村恵美子のギジンカラジオ」というYouTubeチャンネルをやっております。(そっちもよろしくお願いいたします!)
劇団晴天主宰の大石くんとは王子のDWS(ディレクターズワークショップ)で出会いました。近年ではこまばアゴラ劇場の演劇学校、無隣館に参加して)、そこで演劇の勉強をすると共にWEB企画として写真と稽古場日誌を書くWEBメディアを運営してきました(青年団入団後も続けさせていただいておりますが、そちらはコロナ禍で自粛中です)。
それでその流れで、似た活動をもっと外でも出来ないかな、と考えているところで、大石くんからお声掛けいただきました。で、なんだかんだ毎公演及びいただいております。
あと、最近はあんまり貢献出来ていませんが、アマヤドリという劇団で劇団員として演出助手に明け暮れてもいました。まあ、その、なんだ、演劇バカの一人です。

『共演者』のゲネプロレポートはこちらからご覧いただけます!

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それから、過去のゲネプロレポートはこちらからご覧いただけますので、もしよかったら併せてご覧ください。

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劇団の代表作のスピンオフ!…これはもう新作!!
あと劇団員の出演者はゼロ!

撮影:保坂萌

そうなんです!今作は劇団員の出演者はゼロ!出演者の大半はオーディションで選出!という「これは劇団晴天なのか!?」という一作だったりします。

ご安心ください。劇団晴天です。

たーだ若干毒は少なめかもですね!でもそこは高校生だから!ということで、部活で繋がる、でもだからと言って特別仲が良いわけじゃなかった彼女たちの、将来を選ぶきっかけになった「ある夏」のお話です。そう、高校生のお話だからこそ、オーディションで選出したメンバーをキャスティングすることで関係性の初々しさを狙った……的なそういう部分もあるようです。興味深い。

今回は交互上演している『共演者』のスピンオフ(派生)作品で、
出演者8人中5人は共演者と同一人物です。
え、自分のやっている役の若いころを他の人が演じてるってどんな気持ちなんでしょうね? 演劇って不思議なもので、客席で見ているとうっかり、本当に若かりし頃を眺めているような錯覚に陥ります。で、時々ハッと我に返る。

共演者の役者さんと容姿が似てたり似てなかったりは人それぞれだったりするんですが、それでもそんな現象が起きる。観客の創造力に委ねる演劇という形式だからこそ起きる不思議体験です。

あらすじ

高校の演劇部同期4人の最後の公演。本番が近づく中、その部室。
我々の悩みは、「これが本当にやりたいことだったんだろうか?」

こんな世界に誰がした?とか作った人が言ってるの笑える
羨ましいなら黙ってろ 応援するなら助言するな
つまり私たちの未来は無限に広がってるって話

だけど見てしまう「私が好きなものをあなたが嫌いだったら?」いや「みんなが嫌いなものしか、私が好きになれなかったら?」

ああでも足を引っ張る誰かのために、どうして染まる必要がある?
頭の中のすべてと 液体という液体をさらけだしてまで
すきとおる冬の空気を感じるような するどく差した灯りがそのまま胸を焼くような
奇跡みたいな一瞬のために演劇をしているっていうのに。

別れを控えた彼女たちと、制服と部室の最新作。
絶対に乾かない、若さが灯した火種の話。

”書く者”と”書かない者”

撮影:保坂萌

今回、物語の主軸のひとつは、「”書く者”同士の交流」です。

このゲネレポート自体が大石君(劇団晴天の主宰・脚本・演出)と私(劇作をやっております)との交流であったりしますので、私の立場からは少々熱いものがありますね。

確かに、”書く者”同士の交流はなかなか貴重なものです。さて、全て、とは言いませんが、物語を書く人というのはたいてい、何かしらのバックグラウンドを持つものです。それは本人が自覚的であったり、自覚的でなかったりしますが、今回の場合は一方が自覚的で、一方が自覚的ではないですね。そういう時、自覚的でない方は自覚的な方にコンプレックスを持ったりするんですが……。

今回は結構そういうところが軸になってあれこれあるんですけど、でも、正直「自覚的でない」ってだけで自分の書くものは自分にしか書けないんだから、気にする必要全然ないはずなんですけどね。バックグラウンドがあるからって良いものが書けるとも限らないし。でも、この戯曲の良く書けてるなーって思うのは、高校生の頃って、まだまだ成長過程で、そんな風に考えられる方が稀で、そもそも「自分のこと」すらわからないんですよね。まだまだ視野が狭くて、でもって、「こうあるべき」ばっかり積み重なって、妙に意固地になってしまったりして。無駄に言葉がきつくなったりしてっていう、そういうのを、ここまで拾ってこれるのって凄いなって思いました。

でも……、大石くん男性なのになんでこんなに女の子のやりとり書くの上手いんだ……?
劇団員がいる時は「まああの女優陣だしな」みたいな気がしてたけどそれだけじゃないんだなって改めて思いました。あ、編集の白石花子さん(『共演者』出演中)はこっちも健在か。でもそれだけじゃないですよねえ。凄いな……。

ネタバレじゃないけどダラダラ長いので隠します。
とはいえ、もちろん「女性作家が書く女性像」とは異なるんですよね。と、言いつつ……「私木村が見てる女性像」は大石君の書くものにかなり近い気がしているので、私自身はむしろ女性の書く女性像に違和感がある時の方が多いくらいなんですけども(私が男っぽいのかもしれない)。劇作家・演出家がその作品をどう作るか、は割とその作家が見ている世界の姿が現れると思っているので、結構興味深い現象です。

まあ、もちろん実力ある女優陣が演じておりますから、女性の思考が演技の過程でちゃんと通るって部分もあると思いますけども。でもやっぱり、良く書けてるよなあって思います。

結局どちらがおすすめなの??

撮影:保坂萌

どちらがおすすめかと言えば……どっちも!です。『同級生』はスピンオフ……なんですけど中身自体は完全に新作で単品でも十分楽しめるので、どちらがおすすめか?って聞かれれば、「人による」って感じですね。その上でやっぱり、両方!ご覧いただくのがおすすめです。

『共演者』は、大人な女たちの愛憎入り混じった関係性を
『同級生』は、爽やかで未熟だからこそぶつかり合う、青春の関係性を

ご覧頂きたい方におすすめかなと思います!ちなみに単純に「季節」で言えば『同級生』が夏っぽいかな。夏の話なので。

スピンオフとはいえ今回は2本立て! 観客として2本立てって難しいですよね……。最近演劇ってチケット代高いですし、時間捻出するのも大変だし、2本観るって正直難易度高いじゃないですか。でも、今は配信もあることですし、出来れば!
『共演者』→『同級生』
の順番で(難しければ逆でも)観ていただきたいなと思いました!
観劇三昧で観られる『共演者2020』はちょっと台本は違うけど『共演者2023』の配信よりは安く観られますし大枠は変わらないのでそっちでも良いかと思います。やっぱ『2023』版が個人的には、おすすめですが……!共通のネタとかあるし……!

あと
『同級生』→『共演者』
の順番は正直好き嫌いがあるかなーっていう感じがします。なんかこう、
「大人になってしまった!」
的な気持ちに私はなる気がするので、『共演者』を先に観ることで、
「こんなピュアな頃が!!」
ってなる方が私的にはエモいし好みかなーと思います。それもまた好みですが!
『共演者』でバリバリに共感して観てからの高校生時代はなんか、グッとくるものがあります。
でも単純にどちらも面白いですよ!舞台の使い分けとかもほほー!ってなりますし。

お一人ずつについて書いていきます!

ここからはお一人ずつについて書いてみます!『共演者』との違いや類似点等にも触れつつ、語っていきたいと思います。

伊藤愛美(まなみ)役(土本燈子さん)

撮影:保坂萌

まずは今作では土本燈子さんが演じるまなみ! 『共演者』でも相当もがいていますが、高校生時代のまなみはよりパワフルにもがいています! 拝見しながら「あー、私もそうだったー!」っていう、知識がだいぶ大人に近づいてきた一方で、まだまだ世界が見えてない感じ。自分が何が出来るのかわからなくて、でも出来る事は認められたくて。そういう、懐かしく振り返ったり自分が恥ずかしくなったり、色んな気持ちで客席におりました。
『共演者』の近藤陽子さんと同じく土本さん演じるまなみもすっごく表情豊かで! でもまだまだ色んな事が取り繕えなくて、可愛らしかったです。近藤さんと土本さんのお二人は顔立ちも似ているので、なんだか不思議な気持ちにもなりました。
でもこの役やるの難しかっただろうなあ……。一息のセリフ量がとんでもない上に思考が飛ぶタイプ。かと思えば意固地。そしてよく動く(笑)成立させたのは凄いと思います。

東堂照(ショウ)役(森野山小亜さん)

撮影:保坂萌

それから今作では森野山小亜さん演じるショウ! もてる女あるあるなエピソード乱立(笑) ショウは昔からショウだったのねえ、というほほえましい気持ちで見ていました。個人的には彼女の裏が気になりましたね。時代設定が現代になっているので、SNSへの感度の高さとか、携帯を離さない感じとか、今時こういう感じの子がいるんだろうなあ、と思いました。『共演者2023』を見てると笑ってしまう細かい小ネタも色々。年齢面の表現の違いもあって、鈴木彩乃さん演じるショウとは若干妖艶さ的な所に違いがありますが、そこもまた魅力。

『共演者』と比較して、変わった部分
でも一方で、『共演者』時代のショウよりもわかりやすく周囲に優しい一面もある気がしました。人の気持ちに寄り添える部分がある。彼女は今作のメンバーの中では一番明確に将来への目標を持って、実際に行動しているので、色々と経験していって、手放してしまったものもあったのかもしれません。

安⽥桃(やっちゃん)役(大元瑞歩さん)

撮影:保坂萌

次は大元瑞歩さん演じるやっちゃん!まさかこんな高校時代だったとは!という。でもこういう感じの高校生いますよね!取り繕うことを知らない鉄砲玉です。なのに演技は上手いらしい。人生はままならないですな……。
終始やらかしていますが冒頭のやらかしが衝撃です。観劇当初は「もうちょっとどうにかならなかったのかそれは」と思いましたが、でも観ていくとこう、「不器用なんだな……!」という納得感があり、まあ私もそういうところのある高校生だったので大変、色んな複雑な気持ちと共に拝見しておりました。これまた本人「自分がやらなきゃ!」と思ってる一方で周囲を見て、「やってしまった!」っていうのも同時に持っている。豪快に見えて繊細な表現、良かったと思います。

加藤祭(コング)役(利佳さん)

撮影:保坂萌

次は利佳さん演じるコング!こと加藤!やはり『共演者』で同じ役をやられている佐藤沙紀さんとかなり容姿も雰囲気も似ておられるので、最も拝見していて不思議な気持ちになりました。お二人とも”圧”の表現凄いです……。瀬尾へのアドバイス(?)の所とか大変良かったです。
彼女は若いころから強いし、基本安定してますね。『共演者』で一瞬出てきたネタがここでも出てきたのはかなり笑いました。やはり自分から問題に突っ込んでいくことはあまりないのですが、よく周りを見ていて言うときは言う、頼りになるキャラです。
いやしかし似ていらっしゃる……。『同級生』の中で最も『共演者』の役の印象を引っ張ってきていらっしゃるとも思います。
いずれ佐藤さんとお二人の2人芝居とか観たいですよね。

松本夢⼦(ねむこ)役(小川結子さん)

撮影:保坂萌

それから小川結子さん演じるねむこ!『共演者』での角田さんの表現よりは若干大人びて見えるかな?って瞬間もありましたが、「ああ、ねむこだ」ってシーンもあり、なんだかんだ一番ほほえましく拝見したかもしれません。
夢子だからねむこなのかなと思ってたんですが、劇中の台詞によれば別にそういうわけではないようで!全体的に飄々としていて、周りがみんな2年生の中でも上手いこと先輩たちと渡り合っていて、でやっぱり『共演者』同様に全体の調整役もしていて。ずっと楽しそうにされていてとても良かったです。
そういえば作品上の設定的な部分もあるとはいえ、1年はねむこだけっぽいのはこの後の演劇部はどうなるのかしら……? もしかしたら廃部の危機なのかもしれません。

瀬尾京(ケイ)役(輝蕗さん)

撮影:保坂萌

ここから『同級生』オリジナルキャラクター!輝蕗(きろ)さん演じる瀬尾! 小説を書いているというのがやっちゃんに発覚したのをきっかけに演劇部に出入りするようになります。今回は彼女とまなみの関係が主軸になっていきますが、彼女のどこかつかみどころのない雰囲気、良かったと思います。設定に合っていました。演劇部の面々に色々な影響を受けながら変化していきます。輝蕗さんは小柄で、コングを演じる利佳さんとはかなり身長差があるので、近寄られて一瞬ひるんでる所等こまかいな、と思いました。相手が悪くなくても大きい相手に単純にビビること、ありますよね。
人見知りという設定、もありますが、作中を通して彼女がどんどん居場所を得て、自分を掴んでいく感じ、とても好きでした。

彼女はこの後どうなっていったのか?
彼女、『共演者』の方では多分言及されていなかったと思います。
物語ではありますが……、彼女がこの話の後、どうなったのか、とても気になりました。終盤に向かえば向かう程表情が晴れやかで、きっと「この時点」では良い方向に向かったけれど、この後どうなったのか。まなみたちとは交流が続いているのか。『共演者』で一瞬でも名前が出たらな、と思ったりしました。(気づいてないだけで出てるかもしれませんが)

田島世史人(マリオ)役(板場充樹さん(猿博打))

撮影:保坂萌

続いて板場充樹さん演じるマリオこと田島! 演劇部に出入りしている唯一の男子ですが、演技志望という訳ではなく、アナウンサー志望で基礎練に参加させてもらっているのだとか。私の学生時代の友人に少し雰囲気が似ていて、なんだか懐かしい気持ちで拝見しました。一方でなんかこういう感じの、女性に上手くなじむタイプの男性って晴天によく出てきている気がしますが、作家の大石君の何かしらの男性性への認識が垣間見えているんでしょうか??途中で彼が自分を表現していた台詞も気になりますね。
全体的に舞台上にいるときはよく動いてちょいちょい細かく台詞を言っているのですが、声質が良くて、役の設定にも合っているしわちゃわちゃしている中でも聞こえるしで、そんなに目立つわけじゃない一方で存在感があって、とても良かったと思います。

三森和流子役(五十嵐遥佳さん)

撮影:保坂萌

それから五十嵐遥佳さん演じる三森先生。演劇部顧問です。セリフから年齢は30代だと推測されますが、仕事はなかなか上手く行かないことも多い様子。彼女がこういうキャラだったこと、ああ、やっぱり大石君は劇作家としてのバランス感覚がいいなあと思いました。
でも実際、しっかりしているばかりじゃなくて、こういう抜けた部分も持ち合わせた大人が身近に居るって、高校生にとっては良い影響だろうなあと真面目に思いました。
この役はこの本を書いている劇作家の年齢とほぼ同じ年齢でこの作品に存在しているからこそ、ある種、高校生たちのやり取りだけでは拾い切れないピースを持ってくるのに適しているんだな、と感じました。
抜けてる部分も頼りになる部分もあって、でも人としてとても素直で、高校生相手でも反省して謝れて、そういうところが可愛らしくて、五十嵐さんのお芝居はとても素敵だったなと思いました。

自分の原点に立ち返りたい方に観ていただきたい!

撮影:保坂萌

どんな方におすすめしたいか……考えたんですけれども、
自分の原点に立ち返りたい方
に観ていただきたいなと思いました。
若さが灯した火種の話。ですからね。

自分はどうしたいんだろう、とか、
自分は何でこれをやっているんだろう、とか、
自分はどんな人間だっただろう、とか
そういうことを今、考えている方にご覧いただきたいなと思いました。

私自身、高校生の頃に演劇を始めたので、色々な事を考えさせられました。良い作品だと思います。
ところで、「もし60分だったら高校演劇で上演可能だったのかな……?」(作中でも言ってましたが高校演劇は60分の規定がある……はず)
というのも頭をよぎりましたが(今作は90分)、
まあ大人がやる高校生だからこその良さもありますしね。そういう作品なんだと思います。

しかし2本立てとはいえスケジュールがハード!座組皆様お身体には気を付けて頑張ってください!応援しております!

公演詳細

さて!そんな色々な思考を巡らせてもらえる機会となりました『同級生』ですが、

現時点ではまだどの回もお席あるようです!(7月2日時点)
公演詳細は公式Twitter劇団晴天WEBサイトよりご覧ください!

来場が難しい方向けの配信も今回もございます!2本立てなので1本は現地で、1本は配信で、というのもおすすめです。
そちらはチケット販売中ですが配信は月末になるそうです!劇団WEBサイトから詳細確認出来ますのでぜひ併せてご確認ください!

それでは、長々とお読みいただきありがとうございました!
『共演者2023』、そして新作の『同級生』も、どうぞよろしくお願いいたします!